ニュージーランド旅行記~その1~クイーンズタウン【黄金の光が射し込む情景】

~見たらきっと、旅したくなる!
ニュージーランドの旅の写真を動画にしてみました♪

ニュージーランドの旅 プロローグ

”初めての土地、初めてみる風景ではあったが、私の眼には数々の馴染み深い情景として映った”

”あんなに遠い[南]の国であるのに、異郷というものではなく、私の心の最も深い所にあるしたし風景。[この]旅で感じたのは郷愁ではなく、私を郷愁に誘う根源的なものとの巡り合いであった“

ニュージーランドは南島のクイーンズタウン。降り立ったその土地に違和感はなく、遠いところに来たという感覚が全く無かった。なぜ、持っていく単行本として自然と東山魁夷の《森と湖と》を手に取ったか、わかった気がする。私はあの土地の呼び声が聞こえたのだ。迎えた大地は、峻厳と言うよりはずっと穏やかで柔らかく、そしてあたたかだった。

日本を出発~NZ南島のクイーンズタウンに向かって

第一日目は、日本出発し、オークランド→クイーンズタウンに到着、ワカティプ湖周辺散策、スカイラインゴンドラに乗り、マオリショーを鑑賞する一日。

出発の当日はいつの平日よりも少し遅い7時過ぎに起床。

何となく起きて、何となくご飯を食べて、何となく用意をし……とにかくこの旅は、かなりぼんやり気を抜きまくって過ごした……、それでもほぼ予定通りに出発した。

今回の旅は軽装で、スニーカーに上はレインウェア、帽子も荒い目のニット帽。そしてハイカットシューズ、リュック、ウィンドブレーカーに、ジャージ持参。いつもの旅とは異なり、コンサートもオペラも美術館も、教会にも行かず、クルーズにハイキング、散歩、山登りが主な目的だからだ。

大自然をめいっぱい楽しもう!

行く前からそんな気持ちでワクワクする。

平日の成田空港と、いつものエスプレッソ

NZ航空は成田空港の南ウイングの一番端のJカウンターで、基本自動チェクインだ。自動チェックインはとても楽だ。席は自由に選べる。バッテリーも電源パックも預け荷物には禁止なのは驚いたが…。

出発前に余裕をもってとっておいた時間は、思ったより早く過ぎて行く。いつものようにカフェでエスプレッソを注文した。夕方の店内は、早朝のがら空き具合と異なり、混んでいた。

登場する前に窓から外を眺めると、三日月が出ていた。

初めての南半球への旅のはじまり

機内は日本人ばかりでないのが印象的だった。これまで平日に飛行機に乗ることはないから(今回は行きも帰りも平日)ちょっと様子が違ったのかも知れない。

南半球への旅は今回が始めて。

ハバロフスクを抜けて行かないで真反対へ向かい赤道を超えて南極の近くに行くのが不思議な感覚だった。機内では薄手のレインウェアを着ていれば十分で、毛布は厚手のウールだったから、暑過ぎるくらいだった。

NZ航空は、ドリンクや軽食は座席の画面でインターネットショッピングみたいに注文出来るという快適さだ。

経由地、ニュージーランドのオークラインドに到着

飛行機はオークランドへほぼ定刻に着いた。

予想通り、暑い!

入国審査と、長蛇の検疫の列

国際線乗り場で待ち受ける入国審査と検疫が最大の難関だと思っていたが、あっさり通過した。入国審査をしていた体格のいい男性は私の言うことを非常に根気良く聞いてくれた。

検疫はそれなりの長さの行列だが、日本のパスポートを見たポニーテールの若い女性の検疫官は、なんと

「ナマモノ、タベモノ、アリマスカー?」

と、日本語で尋ねてきた。

無いです!と思わず日本語で回答し、 OK!と検疫終了…。

国際線から、建物内に鳥が飛ぶ国内線へ

NZの入国手続きを終えた私は、飲み物を大量に買って緑のラインを辿って国内線の建物へ…しかし荷物が重い、しかも暑い。

その道すがら、紅花を真っ赤にして大きくした様な花が付いた木を見つけた。通称「クリスマスツリー」と呼ばれているポフツカワというフトモモ科の植物だ。

途中で休憩しながら(暑いせいか途中で色んな人が休憩していた)15分強かけて国内線ターミナルへ到着。日本でクイーンズタウン行きも自動チェックインしていたから、bag dropでスーツケースを乗せるだけだ。

国内線の手荷物検査では、国際線と違い、水の持ち込みはOKだった。

ゲートへ到着すると、空港の中を鳥が飛んでいる…そして誰も気にしている様子もなく見向きもしない。(帰りの国際線乗り場も同じだった)

美味しいと評判のウィッタカーズ(Whittaker’s)のチョコとシリアルバーを買い、飛行機でクイーンズタウンへ。

クイーンズタウンに降り立つ

飛行機から降りるとすぐそばに山があった。(冬場は国際空港になるが、山に囲まれた空港だから離発着が難しい空港と言われているらしい。)裾野が見えるくらいの近さにスイスのアルプスの様に切り立って雪を被っている。

だけど何故か違和感がない。確かに外国にいるのに、即座にその環境を細胞が受け入れてしまった…懐かしさというより、以前からここを知っている、そんな感覚なのだ。私は瞬時にその場に溶け込んでしまった。

週末の午後一、タクシー乗り場は空いていた。乗ってみてわかったが、料金が高い。その前の年に物価が非常に安いポルトガルを旅したせいで、ありえないくらいの高さに感じた。それでもガイドブックに乗っている相場より安かったのだから文句は言えない。

広々とした空の下、小ぢんまりした自然に囲まれた街

ホテルへ着いて夕方のスカイラインゴンドラに乗る前に、ちょっと軽食を買いがてら散歩することに。ホテルから出ると、物凄い長い下り坂…背の高い建物は一つもない。後で聞いたら土地が広いから一般の住宅は平家ばかりだそうだ。

そのせいか、空を遮るものがなく、とても広く感じた。

ちょうど天井の高い家に住んでいる様な、閉塞感の無い感じだ。

南国の植物の印象がある椰子と混じって針葉樹がある。なのにやっぱり外国に来ている雰囲気がない。明らかに初めて見るはずの風景なのに、自分が外国から来たという疎外感が感じられない。

それは人が魂の奥底に持っている太古の原風景の記憶のせいなのかも知れない。

そんなことを考えながら街の中心地に向かう。そこはついさっき出来たばかりの新しい街の様に整然と小綺麗だ。スタバもマックもある。二階から三階の店が同じ規格で道の両サイドに規則正しく並んでいる。

氷河湖ワカティプ の周辺

 

ワカティプ湖の周りは、フリマが立ち並び、観光客というより地元民の方が多い様子だった。 クイーンズタウンは、冬場になるとウィンタースポーツを楽しむ旅行客で賑わうそうだが、今は春。 それほど観光客は多くないらしい。

湖のそばにはカモメが群がり、全く人を恐れないでこちらへ距離を詰め、人が持っているであろう食べ物を狙っていた。

クイーンズタウンは、ちょうどN字のワカティプ湖の中間地点に位置している。街の北側の山々と氷河で削られてできた湖との間にある少しの平地に、このクイーンズタウンがある。そうした環境が高いところへ登る前に感じられてしまうくらいここは小ぢんまりしている、ギリギリ町と呼べるほどの規模。

だが、自然豊かで、穏やかな輝きに満ちている。

バンジージャンプや釣り、パラグライディング、ゴルフ…全てが私に縁のないスポーツで、これまでクルーズすらしたことがない、カジノもあるのに全く興味が湧かない、それなのに、私は一瞬でこの街が気に入ってしまった。

鳥の声だけが響く、静寂に包まれたホテル

ホテルに一旦戻ると流石に2日寝ていないのが響いて、もう眠くて仕方ない。暫くベッドに横になると、鳥の声に気が付いた。

まるで日本の吉野山の奥深く(奥千本)で聞いた耳そばくらいで鶯が何匹も囀っているようにホテル内に静寂が広がっている。車の音、人の声すらしない、本当に小鳥のさえずりのみなのだ。

ああ、もうこのまま寝ていたい。

山の上に行くゴンドラまで行く気ゼロになりかけたが、いやいやいつも旅の始まりは塔に登るではないか、明日はダウトフルサウンドに丸一日いるのだし、今日しかクイーンズタウンを散策できないのだから、と思い直して起き上がった。

ゴンドラからのクイーンズタウンの眺め

既に18時台を回っているのに昼間の様に明るい。

眠いが恐らく空気が澄んいるせいなのと、歩きやすい靴のお陰で、身体に全く負荷がかからない。中心地からちょっとでも外れると直ぐに今度は急な上り坂になったが、呼吸は楽だった。

ゴンドラ乗り場は、空いていた。飛行機や宿が取れないくらいだから、絶対に人で溢れかえっていると思ったのに、ローマと違って街の規模が小さ過ぎて直ぐに許容範囲を超えるだけなのだろうか。

下から見たゴンドラの傾斜はもう垂直といってもいいほどで、怖くて乗っていられないのでは思ったが、全く平気だった。

10分かけて昇っていくにつれて広がるパノラマに、やはり来て良かったと思った。

眼下には、地上で感じたままの風景が広がっていた。

山々に囲まれた湖、その間の少しの土地に街がポツリとあるだけで、周りは広大な自然しかない。

その眺めはまるで北欧の峻厳で清澄な景色なのだが、どこかあたたかな気配がする。

ゴンドラを降り見晴らし台に立つと、複雑に切り立った山の中腹に太陽の光が当たり、自然の息遣いが聞こえてくる…その風景に暫しここへ来た目的を忘れて、その情景の発する声に耳を傾けていた。

すると、パラパラと雨が落ちて来た。

ハッとして建物へ入るとちょうどマオリショーが始まろうとしていた。

マオリと明るく美しい音楽

マオリはポリネシア系だ。実際地理的にニュージーランドはオセアニアとしてオーストラリアとセットにされている一方で、ポリネシアに分類されていることもある。

先住民はポリネシアンで、南インドやアフリカ系が祖先と言われているオーストラリアのアボリジニとは、骨格や体型が全く違う。

マオリの音楽は癒し系そのものだった。ハーモニーは美しく、とても明るい。西欧にあるような哀愁漂う雰囲気は全く無い。私はどちらかというと明るいものの方が好きだから、親近感を抱いた。

大体において人は自分と同じものを探して安心するものだが、この土地はホッとするといよりは、全てがしっくりくるのを感じるのだった。

ショーの後、再びゴンドラに乗り、街へ戻る。何となくお腹が空いたような気がしたので、中国語が書いてある店でドーナツを買った。適当に歩いていたらメインストリートから逆方向に行ってしまったので、ワカティプ湖を目指して歩いた。

ワカティプ湖、黄金の光が射し込む情景

夕暮れ時のワカティプ湖周辺は、人が大勢流れてくるところだった。20時を回ってようやく日が沈もうとしていた。

湖の東側の山の斜面に黄金の光が差し込み、金粉を散らしている様にキラキラ輝いていたーその光は穏やかで暖かく、湖面は金色の光を映し取り、山の上から俯瞰したときに感じた峻厳さを一気に吹き飛ばした。

光そのものが美しいのというのを初めて感じた瞬間だった。

それまでの光は色彩を映す装置だと思っていたが…こういう情景に人は自然を崇拝するのだろう。

自然と誰かが歌い出し、それに数人が続いていく。手拍子が入り、ステップを踏むものが現れ、その数が増えていき…そしてそれを楽しげに囲む人々。

その黄金の光を背にして、皆が幸福そうに笑顔を浮かべたのが、印象的だった。

光に照らされる人々の集まりを見て、私も大いなる自然に包まれる幸福を感じながら、その場を後にした。

旅の始まり、序章の終わりは、人々の自然への畏敬の念と魂の再生への祈りで締めくくられた。

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